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ヒロナリさんのモケーな日々

ミリタリー系のプラモ、フィギュア、ディオラマの製作過程を紹介します。写真をクリックすると大きな画像が見られます。

フェイバリットブックス3

Category: 読書  
デビル500応答せず スティーブン・クーンツ  冴木淳 訳
講談社文庫

 
久々のフェイバリットブックス、おじさんのお気に入りの本の紹介です。

デビル500応答せず 

デビル500(ファイブ・オー・オー)応答せず
原題 FLIGHT OF THE INTRUDER

この小説が出版されたのは87年、もう30年以上前なので本屋では流通していませんが、
古本ならアマゾンで100円くらいで買えます。
もっとも、送料が250円かかりますが。(笑)

この本はその後、「イントルーダー 怒りの翼」というタイトルで映画化されましたが、
2時間程度に収めねばならない映画の宿命、原作の素晴らしさは表現し切れていない
といった印象でした。
また、小説のほうはシリーズ化され、主人公ジェイク・グラフトンが活躍する本が
何冊も出版されましたが、おじさんは第一作のこの本が一番好きです。

さてこの物語、何がいいと言って、まずは圧倒的な面白さ。
出だしから緊張感あふれる爆撃任務の描写にぐいぐい引き込まれ、気がつけば
読んでいる自分も空母航空団の一員になったような錯覚がしてきます。
もう一つは軍事的興味を満足させてくれる点です。
何しろ作者クーンツは、ベトナム戦争にも参加した元海軍のイントルーダー乗り。
自身の経験を基に書いているので、コックピット内の描写、飛行隊の運用、軍事用語や
スラングなど、想像や取材だけでは書けない具体性があり、
「へえ、そんなふうになってるんだ。」
と思わせる空母航空団の仕組みや日常が綿密に描かれ、アメリカ海軍機ファンは必読です。

ベトナム戦争が泥沼化していた1972年。
A-6イントルーダーのパイロット、ジェイク・グラフトンは、無意味とも思える任務の最中
被弾し、相棒の爆撃航法士モーガンを喪う。
親友の戦死によって、彼の心に以前からわだかまっていた疑問が大きく膨らむ。
北ベトナムにはもっと重要な軍事目標があるのに、なぜ俺たちは無意味な目標を
破壊するために命を賭けねばならないのか?
やがてジェイクは新しい相棒コールと共に、命令を無視して密かに単独でハノイへ空爆に向かう。

とこう書くと、ハリウッド映画によく出てくる、好戦的でスタンドプレーの好きな
マッチョマンが活躍するお気楽アクション小説のように聞こえますが、
そんなことは全然ありません。

がんじがらめの軍隊という組織の一員として、矛盾に満ちた戦争を戦い、
任務のために人を殺す自己嫌悪にさいなまれ、仲間を失う苦痛に耐え、
傷つき打ちのめされ、それでも自分の中で筋を通そうとする主人公に、
とても共感してしまいます。

というのも、主人公ジェイクが単独攻撃に向かうまでの過程が
とても丁寧に描かれているからです。
映画なんかでの空母への着艦シーンは、とても格好良く描かれていますが、
実際は神経をギリギリまですり減らす過酷なことであることが、読んでみるとよく分かります。
また、戦闘を行なうわけでもない通常の空中給油の任務も、実は常に死と隣り合わせである
ことなど、実際に経験した者でなければ書けない迫真性があります。
そんな厳しい日常の中で、時に見せるアメリカ人らしい悪ふざけに大笑いしたりしている内に、
ジェイクや飛行隊の仲間たちに感情移入してしまいます。
そのため普通に考えれば、はねっ返りのスタンドプレーにしか見えない
ハノイへの単独攻撃も、
「オレだって、その気持ち分かるよ。」
と言いたくなってしまいます。

おじさんは個人的には、ベトナム戦争においてアメリカに正義は無かったと思っています。
だからといって、北ベトナムが100%正しいとも思いません。
戦争は人間の業のようなものだし、正義なんて見る角度によってオセロのように
変わってしまいます。
ただあの時代、海軍パイロットだった一人のアメリカ人が懸命に、
そして自らに誠実に生きようとした姿に、おじさんは共感します。
彼の信念が正しいかどうかなど、命を賭けてもいない後世の部外者であるおじさんには
どうこう言う資格はありません。

物語の最後、ジャングルから立上る霧のベールに神々しささえ感じます。
ぜひ、ご一読を。



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フェイバリットブックス 2

Category: 読書  
悪魔の選択 フレデリックフォーサイス 篠原慎訳
角川文庫


おじさんの好きな小説は、冒険物、戦記物、アクション物、SFと偏ってますが、
そんな好きなジャンルの中の一つに国際謀略物があります。
国際謀略小説の面白さは、フレデリックフォーサイスが教えてくれました。
「ジャッカルの日」以来フォーサイスの小説はすべて読んでいますが、
何がベストかと問われれば、まよわず「悪魔の選択」をあげます。
フォーサイスの作品はどれも面白いのですが、一番強烈に印象に残っているのが
「悪魔の選択」です。
79年の作品なので(おじさんが文庫で読んだのは82年)かなり古いのですが、
今読んでも十二分に面白いし、それどころかフォーサイスの先見の明に驚かされます。

当時はソビエト社会主義共和国連邦という国が厳然と存在し、
アメリカとの冷戦の真っただ中にありました。
そんな中、ウクライナの独立を目指す過激派の二人組が、こともあろうにKGB議長を暗殺し、
旅客機をハイジャックし、西ベルリンまで逃げてきます。
もしこのことが世界に知れ渡れば、ソ連の威信は失墜し、書記長は失脚します。
クレムリンは事件を隠蔽し、牢獄の中の二人組を暗殺しようとします。
逆に過激派の仲間は二人を牢から解放し、事件を全世界に発表しようとします。
そのために過激派がとった奇想天外な作戦とは?
究極の選択を迫られた米英の指導者たちが選んだ「悪魔の選択」とは?

この小説の面白さは、スケールの大きさとストーリーの複雑さにあります。
基本のストーリーを軸に、ソ連の食糧危機、米ソの戦略兵器削減交渉、
クレムリン内部の権力闘争、第3次世界大戦の危機、イギリス情報部のスパイ戦、
一見無関係なスーパータンカーの就航などが同時進行で描かれ、
ひとつの要素は他のすべての要素と複雑に絡み合い、
やがて世界を揺るがす大事件に収斂していきます。

小説は虚構の世界、つまりは嘘なのですが、嘘を嘘と感じさせないためには
丹念に事実を積み重ねていかねばなりません。
その点、フォーサイスは本当に素晴らしいです。
しっかりした取材に裏付けられた具体的な事実を積み重ねていくことによって、
ストーリーに圧倒的なリアル感が生まれ、壮大な虚構が壮大な現実のように思えてきます。

この本は上下巻に分かれていますが、上巻ではKGB議長の暗殺と、
その暗殺が米英ソ各国に与える影響が時系列に沿って何かの観察記録のように
淡々と描かれていき、静かな印象を与えます。
ところが下巻に入ると一転、ストーリーは一気に躍動し一時たりとも目が離せません。
過激派の要求を拒めばヨーロッパは壊滅的な打撃を受け、要求をのめば
第3次世界大戦が始まるという選びようのない選択を、米英の指導者たちは迫られます。
自分ならどちらを選ぶかと、読者は嫌でも考えさせられます。

また、21世紀の今読んで興味深いのは、現実世界のテクノロジーの発達です。
80年代初頭は携帯電話もインターネットも存在しません。
ホワイトハウスでアメリカの大統領が、偵察衛星によるソ連国内のリアルタイムの映像を
見るシーンが出てきます。
ソビエトの農民が小麦畑で立小便をしているところまで見えて、大統領は感心します。
しかし現在、パソコンをネットに繋げばグーグルマップによって、世界中の誰でも
リアルタイムではないにせよ、ほぼ同じような体験ができます。
これってすごいことですよねえ。

この本には派手なドンパチはあまり出てきませんが、それを上回る緊迫したサスペンスがあります。
知的な興奮を誘う、大人のための上質な一冊です。
ぜひぜひお読みください。


テーマ : 趣味と日記    ジャンル : 趣味・実用

フェイバリットブックス 1

Category: 読書  
真夜中のデッドリミット スティーブンハンター 染田屋茂 訳 
新潮文庫


おじさん、5月に実家の自分の部屋を整理することになり、何百冊とある文庫本をブックオフで処分しました。
でも、これだけはまた読み返したいなあと思うものを数冊残しておきました。
これまでに読んだ小説の中で一番好きなものは、変わることなくアリステアマクリーンの
「女王陛下のユリシーズ号」ですが、それ以外にも好きな小説はいくつもあるので、
これからときどき紹介していきます。

スティーブンハンターといえば伝説のスナイパー、ボブ・リー・スワガーシリーズが有名で
おじさんも大好きなのですが、この作品はスワガーシリーズがはじまる5年前
1988年(日本での出版は翌年)に発表されたハンター初期の傑作長編です。

メリ-ランド州の山中に作られた核ミサイルサイロが、謎の武装集団に占拠され、
ソ連に向けて発射されようとしている。
発射されれば、全面核戦争となり世界は滅亡する。
それを阻止するため、特殊部隊デルタフォースが送り込まれた。
タイムリミットは真夜中。
世界の存亡をかけた壮絶な戦闘が開始される。

とまあ、こんな内容のお話です。
このお話はたった1日の物語です。
その日の朝、事件は起こり、デッドリミットの真夜中の12時に向けて、
多彩な人物が怒涛のドラマを繰り広げます。
将軍と呼ばれる武装集団のリーダー、デルタフォースの指揮官、サイロの設計者、FBIのエージェント、
トンネルネズミと呼ばれる黒人のベトナム帰還兵、そのトンネルネズミと戦ったベトナム人女性、
戦闘のアマチュアである州兵たち、A-10地上攻撃機のパイロット、
武装集団に拉致され無理やり連れてこられたアメリカ人溶接工、ワシントン勤務のソ連のスパイなど
多くの人物が登場し、それぞれの視点で物語が進行します。
これらの人物が丁寧に描かれているので、感情移入(あるいは反発)しやすく、
読者は物語にグイグイ引き込まれていきます。

ハンターの小説はガンファイトのシーンにその神髄がありますが、ここでもそれは如何なく発揮され、
クライマックスの地下サイロでの戦闘の迫力はすさまじいものがあります。
武装集団の狙いが次第に明らかになり、登場人物が次々に命を落とし、
ストーリーがどういう結末を迎えるか全く予想がつきません。
ハラハラドキドキ、読みだしたら途中でやめるのが難しい本の一冊です。

ひとつのシーンが盛り上がりこの先どうなるんだろうと思わせるところでシーンが切り替わり、
次のシーンでもいいところでまた次のシーンに切り替わりと、まるでよくできたアクション映画のように、
読者をじらしページをめくる手を止めさせません。
実際、ハンターは映画化を意識してたのじゃないかと思わせます。
ジョンマクティアナンが撮ったら、ダイハードのような痛快アクション映画になること請け合いです。

こういうハナシがお好きな方は是非お読みください。


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プロフィール

bravo-1

Author:bravo-1
60年生まれ。小学生の頃からの
戦車模型ファン。
でも完成品は、年に2~3点。
建築模型の事務所を開業しました。
よろしくお願いします。

建築模型オフィスブラボーワン
http://bravo-1.wix.com/home

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