ヒロナリさんのモケーな日々

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フェイバリットブックス 2

Category: 読書  
悪魔の選択 フレデリックフォーサイス 篠原慎訳
角川文庫


おじさんの好きな小説は、冒険物、戦記物、アクション物、SFと偏ってますが、
そんな好きなジャンルの中の一つに国際謀略物があります。
国際謀略小説の面白さは、フレデリックフォーサイスが教えてくれました。
「ジャッカルの日」以来フォーサイスの小説はすべて読んでいますが、
何がベストかと問われれば、まよわず「悪魔の選択」をあげます。
フォーサイスの作品はどれも面白いのですが、一番強烈に印象に残っているのが
「悪魔の選択」です。
79年の作品なので(おじさんが文庫で読んだのは82年)かなり古いのですが、
今読んでも十二分に面白いし、それどころかフォーサイスの先見の明に驚かされます。

当時はソビエト社会主義共和国連邦という国が厳然と存在し、
アメリカとの冷戦の真っただ中にありました。
そんな中、ウクライナの独立を目指す過激派の二人組が、こともあろうにKGB議長を暗殺し、
旅客機をハイジャックし、西ベルリンまで逃げてきます。
もしこのことが世界に知れ渡れば、ソ連の威信は失墜し、書記長は失脚します。
クレムリンは事件を隠蔽し、牢獄の中の二人組を暗殺しようとします。
逆に過激派の仲間は二人を牢から解放し、事件を全世界に発表しようとします。
そのために過激派がとった奇想天外な作戦とは?
究極の選択を迫られた米英の指導者たちが選んだ「悪魔の選択」とは?

この小説の面白さは、スケールの大きさとストーリーの複雑さにあります。
基本のストーリーを軸に、ソ連の食糧危機、米ソの戦略兵器削減交渉、
クレムリン内部の権力闘争、第3次世界大戦の危機、イギリス情報部のスパイ戦、
一見無関係なスーパータンカーの就航などが同時進行で描かれ、
ひとつの要素は他のすべての要素と複雑に絡み合い、
やがて世界を揺るがす大事件に収斂していきます。

小説は虚構の世界、つまりは嘘なのですが、嘘を嘘と感じさせないためには
丹念に事実を積み重ねていかねばなりません。
その点、フォーサイスは本当に素晴らしいです。
しっかりした取材に裏付けられた具体的な事実を積み重ねていくことによって、
ストーリーに圧倒的なリアル感が生まれ、壮大な虚構が壮大な現実のように思えてきます。

この本は上下巻に分かれていますが、上巻ではKGB議長の暗殺と、
その暗殺が米英ソ各国に与える影響が時系列に沿って何かの観察記録のように
淡々と描かれていき、静かな印象を与えます。
ところが下巻に入ると一転、ストーリーは一気に躍動し一時たりとも目が離せません。
過激派の要求を拒めばヨーロッパは壊滅的な打撃を受け、要求をのめば
第3次世界大戦が始まるという選びようのない選択を、米英の指導者たちは迫られます。
自分ならどちらを選ぶかと、読者は嫌でも考えさせられます。

また、21世紀の今読んで興味深いのは、現実世界のテクノロジーの発達です。
80年代初頭は携帯電話もインターネットも存在しません。
ホワイトハウスでアメリカの大統領が、偵察衛星によるソ連国内のリアルタイムの映像を
見るシーンが出てきます。
ソビエトの農民が小麦畑で立小便をしているところまで見えて、大統領は感心します。
しかし現在、パソコンをネットに繋げばグーグルマップによって、世界中の誰でも
リアルタイムではないにせよ、ほぼ同じような体験ができます。
これってすごいことですよねえ。

この本には派手なドンパチはあまり出てきませんが、それを上回る緊迫したサスペンスがあります。
知的な興奮を誘う、大人のための上質な一冊です。
ぜひぜひお読みください。

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プロフィール

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Author:bravo-1
60年生まれ。小学生の頃からの
戦車模型ファン。
でも完成品は、年に2~3点。
建築模型の事務所を開業しました。
よろしくお願いします。

建築模型オフィスブラボーワン
http://bravo-1.wix.com/home

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